カトマンズやポカラでは、現地のSIMがあると宿の確認や家族への連絡が楽になります。山に入ると話は別です。電波は村によって違い、峠や谷では圏外が普通にあります。SIMは救助の手段ではありません。
この記事の料金は、Ncellとネパール・テレコム(NTC)の公式ページに載っていた数字だけを使っています。トレッキング道ごとの電波マップは、公式には見当たりませんでした。村の名前を挙げて「ここは4G」とは書きません。購入前に、各社のページでもう一度確認してください。
なぜトレッキング中の通信が大事なのか
使う場面の多くは、山の上ではなく、その手前です。山小屋の空きを聞く、今日出発したと家族に伝える、国内線が飛ぶかを見る。これはカトマンズとポカラで済ませておく作業です。
地図、その日の行程、山小屋の名前は、電波があるうちに端末へ保存します。行程と日程は、歩いていない人にも残します。保険会社の連絡先は、紙にも書いておきます。高山病やヘリコプターの話は、通信ではなく保険の条件の問題です。
NTCとNcellの違い
旅行者が選ぶ相手は、ほぼこの2社です。ネパール・テレコムは国の通信会社で、今もNTCと呼ばれます。Ncellは民間の会社で、旅行者向けのSIMを公開していて、カトマンズ空港でも買えると公式ページに書いてあります。
どちらが山で強いかは、この記事では断定しません。公式の村別マップがないからです。Ncellの旅行者ページにある「reliable mobile service」「fast 4G internet」は、会社の説明文です。エベレストベースキャンプやドルポで測った結果ではありません。
遠いコースでは、ネパール・テレコムのプリペイドを先に考える人が多いです。国の通信会社で、SIM自体の公式価格がNPR 90と安いからです。これは電波の測定結果ではありません。Ncellは、日数が決まった旅行者向けパックを空港で買える点がわかりやすいです。
端末がデュアルSIMなら、街はNcell、山はNTC、と分けている人もいます。便利な分け方ではあります。どちらの電波がその週の山小屋で見えるかは、最後の町で聞いてください。
山の電波は、街の電波と同じではない
カトマンズとポカラは、両社とも普通の市街地サービスです。トレッキングに入ると、大きめの村では拾えることがあり、峠、森の中、支谷では圏外になることがよくあります。尾根の向き、天候、山小屋の壁がどちらを向いているかでも変わります。
アンテナが1本でも、写真は送れるとは限りません。音声だけ通ることもあります。去年の10月にデータがあった山小屋が、到着した日も同じとは限りません。聞いてください。
ナビアプリを生の通信前提にしないこと。救助を生の通信前提にしないこと。ナムチェ、ゴラクシェップ、ゴーキョ、アンナプルナベースキャンプ、ラルキャ峠に4Gがあるかどうかは、使った公式ページには書いてありませんでした。
カトマンズ、ポカラ、山小屋、道の上
SIMの開通、地図の保存、家族への行程送信は、カトマンズかポカラで終わらせます。道沿いの村や、山小屋が連なる場所の方が、高所のキャンプより電波に会いやすい、という程度の話です。約束ではありません。村と村のあいだは、1時間でも1日でも圏外があり得ます。
山小屋に電気があるときに充電します。小さいモバイルバッテリーは街で用意します。充電代は山小屋ごとに違うので、ここでは金額を書きません。
コースごとの考え方
次の項目は電波の有無ではありません。その歩き方で、通信を当てにしてよいかの考え方です。日数や標高は各コースのページを見てください。
- エベレストベースキャンプとゴーキョ: ルクラから先は道が終わります。上の道、ゴーキョの支谷、展望地は、メッセージが送れない前提で歩きます。必要なものは飛ぶ前に保存します。データがその日動いていれば、最後の大きな村でもう一度保存できます。
- アンナプルナベースキャンプ: 出発はポカラ周辺です。SIMが普通に使える場所から歩き始めます。高所のキャンプはポカラではありません。下の村の電波が、上でも続くと思わないでください。
- プーンヒル: ゴレパニの上の短い歩きです。頂上の写真が撮れることと、データが使えることは別です。保存はポカラで済ませます。
- マルディヒマール: 短い尾根です。下の森と高所のキャンプは別の場所です。展望地からの通話は当てにせず、山小屋に聞いてください。
- ランタン谷: 車道が終わると谷が狭くなります。奥の谷は、下りるまでメッセージが届かないかもしれない場所として扱います。
- マナスル・サーキット: 高所の峠を越える制限区域です。峠とその前後は、電波を期待する場所ではありません。車道を離れる前に、ガイドと助けの呼び方を決めておきます。
- ドルポなど人の少ないコース: SIMが一番役に立たない歩きです。アッパー・ドルポやアッパー・ムスタンは制限区域で、許可と資格のあるガイドが必要です。行程は山に入っていない人に残します。衛星通信機は別の道具です。特定の製品は勧めません。
コースのページは英語です。
旅行のタイプで選ぶ
- 市街地だけ: カトマンズ、ポカラ、短い谷。どちらでも足ります。空港で買いやすいのはNcellの旅行者パックです。
- ポカラ発の短いトレッキング: プーンヒルやマルディヒマールに街を足す行程。日数が7日、14日、28日のどれかに近ければ、Ncellの旅行者パックが合わせやすいです。地図はポカラで保存します。
- エベレスト、ランタン、マナスル、ドルポ: 宣伝文句では選びません。デュアルSIMなら、山用にネパール・テレコムのプリペイドを足し、Ncellは旅行者パックのまま、という人がいます。車道のある最後の町で、両方試します。
- 到着前からデータが欲しい: Ncellは旅行者向けeSIMを、旅行者SIMのページから案内しています。ネパール・テレコムのeSIM手続きは、すでにある番号向けです。下に書きました。
この計算にはSIM代は入っていません。
SIMの買い方と必要なもの
Ncellの公式ページでは、物理の旅行者SIMはカトマンズのトリブバン国際空港、主な入国地と都市のNcellセンター、正規の販売店で買えるとされています。登録と開通にはパスポート原本が必要、とも書いてあります。旅行者向けeSIMは、同じページが案内するオンラインのプラットフォームで買えます。対象はネパール国籍以外です。
ネパール・テレコムのプリペイドは、「旅行者SIM」という名前の商品としては見当たりませんでした。料金ページにも空港カウンターの記載はありません。ネパール・テレコムの窓口で買ってください。空港で無料のNTC SIMがもらえる、という話は公式サイトでは確認できませんでした。
ネパール・テレコムには、国内の住所へ郵送するSIMもあります。公式ページの記載は、SIM代 NPR 90、郵送料 NPR 70、合計 NPR 160です。書類は顔写真と、市民証またはパスポートです。ネパール国内に届け先がある人向けで、着いた翌日から山に入る方法ではありません。
パスポートと、端末の登録
Ncellの旅行者SIMは、公式ページがパスポート原本を求めています。店がビザのページや写真を追加で聞くことはあります。写真は公式ページの条件には書いてありません。パスポートは持っていきます。
端末側は別の手続きです。*#06# でIMEIを表示できます。規制当局NTAの登録サイトは mdms.nta.gov.np です。
NTAのMDMS細則では、外国の通信会社のSIMでローミングしているだけの端末は、原則として対象外です。ネパール・テレコムまたはNcellのSIMを、持参した端末に入れる場合は話が変わります。同じ細則には、ネパールのSIMで使われた未登録端末は登録するよう通知され、最初に検知されてから15日後にサービスを止められる、とあります。個人登録の画面は、パスポートと、出入国スタンプまたは搭乗券を求めています。画面の多くはネパール語です。古い暫定指示ではなく、この細則と、その日の画面を見てください。手続きは変わります。
Ncellの旅行者向けプラン
確認した時点で、Ncellの旅行者ページに載っていた3つです。通話は全ネット、SMSは各100通です。支払う前に公式ページで同じ数字か見てください。
| プラン | データ | 通話 | SMS | 期間 | 料金 |
|---|---|---|---|---|---|
| TouristPro Sprinter | 無制限 | 全ネット無制限 | 100 | 7日 | NPR 595 |
| TouristPro Explorer | 無制限 | 全ネット無制限 | 100 | 14日 | NPR 995 |
| TouristPro Voyager | 無制限 | 全ネット無制限 | 100 | 28日 | NPR 1,995 |
公式ページは、無制限のデータと通話にFair Usage Policyがかかると書いています。FAQでは、Sprinterは10GBのあと「256 Mbps」、Explorerは25GBのあと「256kbps」と、単位が揃っていません。Voyagerの上限はFAQにありません。どちらもNcell自身のページの表記です。速度は測っていません。カウンターで確認してください。
- 対象はネパール国籍以外だけ、とFAQにあります。
- すでに旅行者プランに入っている場合、追加で買えるのは3つの旅行者パックのうちの1つです。
- 期限は開通した時刻からで、深夜ではありません。
- 期限後、チャージすれば音声の従量は使えます。データはパックを買い直す必要があります。
- 追加の旅行者パックは、Ncellアプリ、販売店、または *123# です。
ネパール・テレコムのプリペイドとデータパック
旅行者向けの無制限プランは、ntc.net.np では見当たりませんでした。公開されているのはプリペイドSIMと、データパックの一覧です。
| 項目 | 公式のプリペイド料金ページの記載 |
|---|---|
| SIM | Re. 90。うち通話料相当 Re. 10。所有税込み |
| 初めから付く分 | 音声40分、SMS 20通、データ300MB |
| 音声 | NT網は1分 Re. 1.5、他網は1分 Re. 2 |
| データ従量 | 1MBあたり Re. 1 |
| SIM再発行 | Re. 50 |
| 税の注記 | ページ末尾は「料金は税別」。通話と1MBの数字は、支払額そのものではありません |
チャージカードの有効期限は別です。Re. 50は25日、Re. 100は55日、Re. 200は130日、Re. 500は330日、Re. 1,000は690日、と料金ページにあります。データパックの日数とは別の時計です。
データパックは「All Time Data Pack」として、Monsoon Offer 2082 のページに税込で載っています。オファーのページなので、恒久料金とは限りません。
| 容量 | 期間 | 税込(NPR) |
|---|---|---|
| 5GB | 7日 | 109 |
| 12GB | 7日 | 199 |
| 10GB | プリペイド28日(ポストペイド30日) | 299 |
| 20GB | プリペイド28日(ポストペイド30日) | 399 |
| 30GB | プリペイド28日(ポストペイド30日) | 499 |
| 55GB | プリペイド28日(ポストペイド30日) | 899 |
| 100GB | プリペイド28日(ポストペイド30日) | 999 |
同じ表には、1日1GBがNPR 30の短いパックもあります。無制限の別表もあり、そちらにも利用制限の行があります。買う行を読んでください。表の全部は写していません。
パックのページは、申し込みに *1415# と書いています。短縮番号の一覧では、*1415# は最新オファーの確認、*400# は残高、1498はモバイルのお客様サポートです。1498は通信会社の窓口であり、山の救助番号ではありません。自動更新のNamasteパックは、残高があると更新されます。帰国直前の人は、その規則を読まずに入れないでください。日数が決まったデータパックの方がわかりやすいです。
物理SIMとeSIM
物理SIMには、SIMトレイのある端末と、SIMロック解除が必要です。Ncellは空港と正規店の物理SIMに加え、旅行者ページからeSIMも案内しています。
ネパール・テレコムのeSIM案内は別の手続きです。有効な同社の番号、Rs. 50より多い残高、登録情報の更新、市民証の確認、市民証を持った写真を求めています。市民証の確認ができない場合は窓口へ、とあります。新しく着いた旅行者向けのeSIM商品は、そのページでは見当たりませんでした。着いた日に回線が欲しい人は、端末がNcellの旅行者eSIMに合う場合を除き、物理SIMで考えてください。
eSIM専用の端末は、プラスチックのSIMを入れられません。日本を出る前に確認します。いつもの番号でメッセージを受けつつ、ネパールの回線をデータに使う、という分け方は、端末が許す場合だけです。
日本から持っていくスマホ
SIMロックがかかったままでは、ネパールのSIMは入りません。ドコモ、au、ソフトバンクのロックは、出発前に解除します。日本で売られたiPhoneのすべてにSIMトレイがある、とは書きません。周波数も機種で違います。
ネパール・テレコムが公開している4Gは、Band 3(1800MHz)とBand 20(800MHz)です。確認ページで、*#06# のTACまたはIMEIを入れます。これは同社の網の確認です。
Ncellの旅行者ページには、周波数の一覧がありません。ここでは作りません。店が応じてくれるなら、SIMを入れてページが開くまで見てもらいます。データが始まらないときは、APNの設定を頼んでください。古いブログのAPNを写すのはやめます。
チャージの仕方
トレッキングの日数を覆うパックは、きちんとした店がある最後の町で買います。高い山小屋でチャージを売っていることも、売っていないこともあります。
Ncellは、追加の旅行者パックをアプリ、販売店、*123# で買う、とFAQにあります。期限が切れたあと、音声はチャージすれば従量で使えます。データはパックが必要です。
ネパール・テレコムは *1415# でオファー、*400# で残高です。チャージカードの有効期限と、データパックの日数は別です。両方見てください。
この記事の金額は、リンクした公式ページに印刷されていたものです。Nepal Travel Guideの見積もりではありません。出発の週にもう一度開いてください。日本円には換算していません。レートはその日のものです。
オフライン地図と、助けが必要なとき
地図、その日の道、山小屋の名前は、カトマンズかポカラで保存します。電波がないと送れないメッセージは、峠の上で未送信のまま残ります。
体調が悪化しているときは、電波を待つより、下ることと助けを呼ぶことが先です。高山病の英語ノートは症状の説明であり、診断ではありません。ヘリコプターを出すかどうかは、加入した保険の文言です。援助会社の電話番号と証券番号は紙にします。
車道を離れる前に、電話が死んだときの呼び方をガイドと決めておきます。制限区域では、その人がいない歩き方にはなりません。SIMはその計画の代わりになりません。
よくある質問
空港でSIMは買えますか。Ncellは、旅行者SIMをトリブバン国際空港で売ると書いています。ネパール・テレコムの料金ページは、旅行者カウンターとは書いていません。無料のNTC SIMは、公式サイトでは確認できませんでした。
Ncellの旅行者プランは旅行者だけですか。FAQは、ネパール国籍以外だけ、と書いています。
無制限は最後まで同じ速度ですか。違います。Fair Usage Policyがあり、FAQはSprinterが10GB後、Explorerが25GB後に速度を落とすと書いています。単位の表記はページ内で揃っておらず、Voyagerの上限は載っていません。
Ncellの期限はいつ切れますか。開通した時刻からで、深夜ではありません。
あとからデータを足せますか。旅行者プラン同士なら、アプリ、店、*123# です。期限後のデータ従量はありません。音声の従量は、チャージすれば使えます。
ネパール・テレコムに旅行者向け無制限はありますか。公式サイトでは見当たりませんでした。SIMはRe. 90で、データはパックを足すか、税別で1MBあたりRe. 1です。
日本のスマホはそのまま使えますか。ロック解除が済んでいて、その網に対応している場合だけです。NTCの4Gは公式の確認ページで見ます。Ncellは店で開通を見てもらいます。eSIM専用端末は、カードではなくNcellの旅行者eSIMです。
エベレストやゴーキョやABCに電波はありますか。あるともないとも書きません。使った公式ページに、その地図がありません。ない前提で準備し、村で拾えたら幸い、で十分です。
緊急時はSIMだけで足りますか。足りません。オフラインの保存、誰かに残す行程、紙の保険連絡先が先です。
出発前のチェックリスト
- SIMロックは日本で解除してある。ドコモ、au、ソフトバンクのままにしない
- SIMトレイがあるか、eSIM専用か、両方かを知っている
- パスポートは預け荷物ではなく手元にある
- 出発の週に、Ncellの旅行者ページとネパール・テレコムの料金ページを開いた
- 地図と山小屋の名前をオフラインで保存した
- 保険の連絡先を紙に書き、補償がそのトレッキングに合うか見た
- 日程とコースを、同行しない人に渡した
- モバイルバッテリーを街で充電した
- 遠いコースでは、最後の町で、山小屋が実際にどちらの電波かを聞く
- SIMを救助の計画だと思っていない
歩き方を先に決める
SIMの前に、コースを決めます。公式ページで見たパックを、自分で足してください。SIM代はこの計算に入っていません。
日数で迷うときは、日本語で聞けます。歩きたい場所と日数を書いてください。行程の相談はできます。その日に電波があるかは、通信会社と山の話です。
Ncellの料金、空港販売、パスポート、eSIM、速度制限の文は、Ncellの旅行者SIMページによります。ネパール・テレコムのSIM代と通話料はプリペイド料金ページ、データパックはMonsoon Offer 2082のAll Time Data Packです。オファーページなので変わります。15日の記述はNTAのMDMS細則であり、販売店の話ではありません。第三者の電波マップは使っていません。どの道でも電波があるとは保証しません。